心が十分に解明されていないので、健康な心の状態を厳密に定義することは困難です。私は、心の健康を示す指標として、以下のような条件を考えています。
環境に積極的に適応していること
積極的な適応とは、「単に環境に順応するのではなく、環境に適応しながら、その環境をより良いものに変えていこうとすること」です。
自分の行動を自分自身がコントロールしていること
- 自我が十分な力をもっていること
- 心の中の健康な部分が、行動をコントロールし、不健康な部分を制御できること
- 自分自身を傷つけたり、他の人に害を与える行為を制御できること
自分らしい生き方をめざしていること
自分の個性に合った、自分らしい生き方(自己実現)をめざしていること
自立をめざしていること
- 日常生活の自立、経済的な自立、精神的な自立
- 精神的な自立とは、「自分で考え、判断し、行動し、その結果に対して責任がとれること」「他の誰かではなく、自分自身に頼って生きていけるようになること」です。
心が一つに統合されていること
- 意識と無意識が調和していること
- 心の中で抑圧されたり、解離されている要素を受容し、人格の中に取り込んでいくこと
- 心の中のマイナス面とプラス面のバランスをとること
- 心の中のあらゆる要素が、自己(セルフ)を中心に統合され、心が完全に一つにまとまって機能していること
心が成長を続けていること
- 外界の試練や心の中の葛藤と対決することによって、心を鍛えること
- 心を成長させるための栄養・・愛、喜び、満足感、感動、笑い、人とのふれあい
心を健康に保つためには?
心を健康に保つために必要な条件を挙げました。自分に欠けているものをチェックしてください。それが、心の健康を回復し、心を強化するための鍵になると思います。
- 十分な睡眠
- 十分な休養
- 身体の健康
- ストレスを発散する方法をもっている
・趣味、遊び、運動、おしゃべり、瞑想、昼寝など - 自分だけのための時間をもっている
- 家庭、職場、学校、近所付き合いなどで、良い人間関係が維持できている
- 信頼できる人が一人でもいる
- 困った時、帰っていける場所がある。
・故郷、実家、親戚、友人など - バランスがとれている
・仕事と遊び、仕事と休養、知的作業と運動、緊張とリラクゼーションなど - 自分自身の幸福(成長)だけでなく、社会全体の幸福(成熟)も追求している
≪心の内面の問題≫
- 心にゆとりがある
- 希望(夢、生きがい、目標)がある
- 心に柔軟性がある
- 心に復元性がある
・自分を見失わない。
・動揺しても、本来の自分に戻れる。 - プラス思考ができる
・物事のプラスの側面(良い側面)に目を向けられる。
・どのよう出来事の中にも、自分にとってプラスの意味を見つけられる。
・未来に対して楽観的である。 - 心のバランスがとれている
・ 思考と感情、理性と欲求、自信と謙虚さ、真面目さとユーモア感覚、現実感と理想、利己主義と 協調性など、対立する要素間のバランスがとれている。 - 内なる敵と対決している
・マイナスの感情・・怒り、恨み、憂欝など
・マイナスの性格・・悪の衝動、攻撃性、嫉妬心、傲慢さ、冷酷さ、無神経さ、弱さ、ずるさなど
・マイナスの行動パターン・・暴飲暴食、不摂生、嗜癖、怠惰など
・ マイナス思考・・物事のマイナス面ばかりに目を向ける。何でも悪い方に解釈する。未来を悲観 的に予測する
・否定的な思い込み(ゆがんだ信念、固定観念)・・例「世の中はお金がすべてである」
・否定的な自己イメージ・・例「自分は人より劣っている」
・コンプレックス・・容姿、才能、家柄などに対する劣等感コンプレックス
・トラウマ・・心的外傷体験、傷ついた過去の記憶
- 自尊心が保たれている
・自分自身を正当に評価できる。
・自信がある。 - 信頼感が保たれている
・自分自身に対して基本的な信頼感がある。
・他者や世界全体に対して基本的な信頼感がある。
・自然(宇宙、神)に対して感謝の気持ちや謙虚さがある。
・信仰心がある。 - 愛がある
・自分自身が好きである。
・誰かを真剣に愛している。
・欠点を含めて、ありのままの自分と他者を受容できる。
・大いなる存在の愛に包まれていることを自覚している。